連載:悪質バイラルメディアはどう対処すべき?

スマホの川流れ

毎月第1~4火曜日ごろ更新

さえない僕が突然「リア充写真」をSNSに投稿したら世界はほほ笑んでくれるのか?

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スマートフォンを使って、さまざまな実験を行うこの企画。第72回は、リアルが充実しているように見える写真をSNSに投稿し続けます。



「リア充」とは、リアル(現実)の生活が充実している人のことを指す、インターネットスラング。彼らはいつもキラキラと輝いており、人生を楽しんでいます。

暗い部屋の中、死んだ目でパソコンを見つめている僕とは対極にいる人々のことです。




そんなリア充がSNSに投稿している写真は「リア充写真」と呼ばれ、どれも仲間たちに囲まれて楽しそうにしているものばかり。 

いつもひとりぼっちでいる孤独な僕は「自慢してんじゃねぇーよ!」「インターネットではそういうのは嫌われるぞ!」と悪態をつきながらも、実際は「うらやましい......」「僕もリア充になりたい......」と泣いています。

なぜ、僕はリア充じゃないんだ?

どうやったらリア充になれるんだ?

僕とリア充の違いは、いったいどこにあるんだ?

そんなことばかり考えていた僕は、あることに気づきました。


もしかして......、リア充だから「リア充写真」をSNSに投稿するのではなく、 「リア充写真」をSNSに投稿するからリア充になれるのでは......?


そう、リアルが充実しているから「リア充写真」をSNSに投稿するのではないのです。

無理矢理にでも「リアルが充実しているっぽい写真」をSNSに投稿することにより、自分のまわりの人々が「あっ、あの人はリア充だったんだ!」と意識してくれて、リア充として扱われ、リア充しか参加できないパーティーへの招待状も届くのではないでしょうか?

そこで、この仮説を検証するべく、さえない僕が「リア充写真」をSNSに投稿しまくってみることにしました。

はたして、世界はほほ笑んでくれるのでしょうか?

僕はリア充の仲間入りができるのでしょうか?

さっそく実験を始めましょう。




SNSに投稿する「リア充写真」は、フリー素材として提供されている画像をリア充御用達のアプリ「Instagram」でそれっぽく加工して使います。

以下、実際に投稿した「リア充写真」と、その解説です。



<リア充写真 No.1>

「大学時代の友達が表参道にカフェをオープンしたのでレセプションパーティーに来ています! さすがシゲだわ! センスいい内装!」


【この写真のリア充ポイント】
リア充の周りには、なぜか起業家やショップオーナーが多く存在します。そして、そのほとんどが表参道や原宿、渋谷、または六本木に集まります。

そこで「表参道」「カフェをオープン」「レセプションパーティー」というリア充ワードを盛り込んでおきました。

また、友達を2文字の愛称(シゲ)で呼べるのは、リア充の第一歩。

そんなシゲを「センスいい!」と褒めながらも「センスのいい内装のよさがわかる俺も、またセンスがいいのだ」というリア充思考の詰まった写真の完成です。



<リア充写真 No.2>

「紅茶にかなりこだわったらしい! たしかにおいしくてビビった! 香りも最高だわ!こりゃ通っちゃうかもなぁ~(笑)」


【この写真のリア充ポイント】
リア充は、味覚もリア充。普段あまり飲むことのない紅茶でも、味、香りともに「最高だ」ということを一瞬で見抜きます。このように「俺は味がわかるんだよ」アピールをすれば、カンタンにリア充っぽさを出すことができるのです。

そして、何より注目してほしいのは「こりゃ通っちゃうかもなぁ~(笑)」です。

そう、リア充は「wwww」を使いません。「(笑)」を使います。もし、あなたが「wwww」を使っているなら、リア充の素質はありません! wの数だけリア充から遠のくと心得てください。



<リア充写真 No.3>

「ケーキも出してくれたんだけど、全部おいしかった! リナに一口もらったモンブランもマジ最高だった!」


【この写真のリア充ポイント】
リア充は、女の子にモンブランを一口もらうのも朝メシ前。「俺が口をつけたフォークなんて汚いよな......」という悲観的な発想はリア充にはありません。

また、すでにお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、さっきから投稿しているリア充写真のすべてにかわいい女の子が写り込んでいます。

そう、リア充の絶対条件。それは、かわいい女友達がたくさんいること。

かわいい女友達がいない者は今すぐ立ち去れ。そういう世界なのです、リア充が住む世界は。



<リア充写真 No.4>

「ユミに誘われてテラス席に移動。ここもいい! なんかユミが俺に話があるらしいから今から聞きます! またあとで店の詳細を書き込むね~」


【この写真のリア充ポイント】
リア充は、えてして鈍感です。おそらく、ユミは告白するつもりなのでしょうが、リア充は「なんか話があるんだってさ」と、特に気にも留めていない様子。そこがまたリア充っぽいですよね。

はたして、ユミと付き合うことになるのでしょうか?

いったいどうなっちゃうの~!?




<リア充写真 No.5>

「オレオに新しいおもちゃを買ってあげたら怖がってる(笑)。ホントいつまでたっても怖がり屋さんだからパパは心配です......」


【この写真のリア充ポイント】
リア充といえばトイプードルです。ことあるごとにリア充はトイプードルを召喚します。

また、トイプードルなどのペット全般を「自分の子ども」という目線で見ているので、ペット関連の投稿の場合は一人称を「パパ」もしくは「ママ」(女性の場合)にしがちです。

トイプードルの目には、リア充のエゴがどのように映っているのでしょうか?

今度、バウリンガルで本音を聞いてみたいものです。



<リア充写真 No.6>

「この前のトイプー会の時のベストショット😄 ミントくん&チョコちゃん😄  これがホントのチョコミント(笑)」


【この写真のリア充ポイント】
「これがホントのチョコミント(笑)」だってさ。全然おもしろくねぇ~! おもんな~!

でも、それがリア充なんです! リア充におもしろさなんて必要ないんです!

別に何もかかってないし、何も上手いこと言ってないけど、取り巻きの女の子たちは笑ってくれます。

全然おもしろくなくても笑ってくれる女の子が周りにたくさんいるようになってきたら、あなたもリア充に片足を突っ込んでいる証拠です。



<リア充写真 No.7>

「晴れてよかった~😄 毎年恒例の秋バーベキューを無事に開催😄 食うぞ~! 肉肉肉!(笑)」


【この写真のリア充ポイント】
リア充の主食は「週末に友達と集まってやるバーベキュー」です。週末に友達と集まってバーベキューをやらないと、リア充は餓死してしまいます。

今になって気づいたのですが、「バーベキュー」のことを「BBQ」と略せば、もっとリア充っぽさは演出できたのにな、と反省しています。

また、先程から「😄」という記号が増えてきましたが、これはスマートフォンやケータイの「環境依存文字」です。リア充は「絵文字」を多用するので、パソコンではこのような文字化け現象が発生してしまいました。

とはいえ、リア充には「環境依存文字」など関係ないことなので、ご了承ください。

「リア充」という環境に対応できていない時点で、絵文字の負けです。




<リア充写真 No.8>

「実は、今日は朝から波乗りにも行っていたので超眠いッス😄  でも、久々に波を感じられたので体が超スッキリした!😄」


【この写真のリア充ポイント】
「リア充」でマジカルバナナをしたら、真っ先に「リア充といったらサーフィン!」と言われそうなくらいベタなサーフィンに関する投稿もしてみました。

ベッタベタで申し訳ないと思いながらも、結局はそんなベタなのも、リア充の証なんですよね。

「サーフィン」を「波乗り」といったり、「波に乗った」を「波を感じた」といってみたり、リア充予測変換機能は正常に動いています。




<リア充写真 No.9>

「けっこう始めるのにはハードル高いかもしれないけど超楽しいし、ストレスも消えて最高だよ!😄 みんなも始めればいいのに!😄 仲間増やしたいからいつでも教えるよ~😄」


【この写真のリア充ポイント】
もう、うるせぇ! 黙れ!

自分で投稿した「リア充写真」ですが、だんだん腹が立ってきたわ!

サーフィンやってるやつ、全員ケガしろ!

おっと、リア充ポイントの解説ではなく、ただの悪口になってしまいました。失礼しました。





<リア充写真 No.10>

「新しい自転車買った~😄 3台目はこのタイプにしました😄 天気もいいし今からお台場まで走ってきま~す😄」


【この写真のリア充ポイント】
リア充写真の代名詞的なアイテムが「自転車」です。

「お前が自転車を買ったのなんて、知らねぇよ」と思われるかもしれないという発想はなく、「自転車が趣味の俺って、健康的でカッコいいでしょ? あと、自転車ってまあまあいい値段するけど俺は3台くらい平気で買えちゃうんだぜ」というアピールをしたいがために、リア充はとにかく「新しい自転車の写真」をSNSに投稿します。

ちなみに、リア充写真に欠かせない「しゃらくせぇ自分撮り」にも挑戦してみました。





<リア充写真 No.11>

「秋晴れのお台場なかなか良かった😄 昼休み中のユミとスタバをテイクアウトして青空カフェ😄 気持ちよかった~😄」


【この写真のリア充ポイント】
でた~! ユミでた~! やっぱり告白されたんだ~!!!! 付き合ってんだ~!!!!

お台場で働いてるってことは、ユミはテレビ関係者? いや、ビーナスフォートのアパレル店かも?

いいな~、僕もユミと「スタバ」をテイクアウトした~い!

まあ、ユミも、ユミと付き合っている僕も、この世には実在しないんですけどね。



<リア充写真 No.12>

「仲良しの美容師さんと😄」


【この写真のリア充ポイント】
リア充写真に欠かせないのは、なんといってもやはり「仲良しの美容師さん」でしょう。ただの美容師ではいけません。「仲良し」の美容師さんでなければ意味がないのです。

この写真を撮影するために、美容院に電話したところ、「担当者のご指名はありますか?」と聞かれたので、「仲良しの美容師さんっぽい人をお願いします」と言うと上の写真の方をつけてくれました。ピースまでしてくれて完璧な「仲良しの美容師さん」を演じてくれています(この日、初対面)。



僕のリア充写真は、いかがだったでしょうか? 

ここまでやったら僕もリア充の仲間入り確定!(のはず!)

それでは、各SNSの反応をチェックしてみましょう!




リア充写真をSNSに投稿しまくった結果......、




Twitterはまったく反応ナシ!

あれだけTwitterにリア充写真を投稿しても、まったく反応が返ってきませんでした。これがリア充のアカウントなら、RTされたり、ふぁぼられたり、リプライが飛んできたりしたのかもしれませんが、さえない僕のアカウントでは、なしのつぶてでした。

また、フォロワーの増減も測定していたのですが、一切、変化はありませんでした。増えるわけでもなく、減るわけでもない。恐ろしいほどに、Twitterでは何の反応もありませんでした。



Facebookでは、友達がこぞって「いいね!」をつけてくれた!

Twitterとは対照的に、Facebookではみんながこぞって「いいね!」をつけてくれました。「なれ合い」の文化が根付いているFacebookでは、リア充っぽければ無条件で「いいね!」をくれるみたいです。

また、リア充写真に「いいね!」をつけることにより、「俺もリア充の友達なんだぜ」というアピールができることも大きいのではないでしょうか。他人よりも自分を大きく見せたいというエゴがぶつかり合うFacebook。そんなFacebookとリア充写真は、どうやら相性がいいみたいです。



リアル(現実)では「どうしたの? 大丈夫?」と心配された。

いつも、さえない投稿ばかりしている僕が、いきなりリア充写真を投稿したところで、ただ友達に「ついに気でも狂ったか?」と心配されただけでした。

残念ながら、一向にリア充にはなれませんでした。

でも、内心ホッとしている自分もいます。

リア充写真をSNSに投稿しまくっていた数日間、とても苦痛だったからです。

無理をしている感じ、本当の自分ではない感じが体中を支配して、とてもストレスを感じました。リア充にはなれませんでしたが、何か大切なことには気づけたような気がします。わざわざリア充なんか目指さなくてもいいんです!

自分が「楽しい」「おもしろい」と感じることを突き詰めていけば、あなたのリアルはきっと充実するはず!

「自分にウソをつかないこと」が、本当の意味でのリア充への近道なのかもしれません。



撮影日:2013年10月25日~28日

(セブ山 @sebuyama/ノオト)

2013年11月12日

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セブ山(Twitter:@sebuyama)+有限会社ノオト(外部サイト)
フリーのライター。平日毎日更新の Webマガジン「オモコロ」(外部サイト)で活動中。リヤカーでビジネス書を売る「リヤカーブックス」(外部サイト)の店長も務める。

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